新型シビックの静粛性と上質な走りを確認! 一気に大人びたデザインはターゲットの若者にウケるか?
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:望月 浩彦 330
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:望月 浩彦 330
お待ちかねのダイナミック性能は、ワインディングコースでじっくり確認することができた。
まず6速MTモデルの走りだが、結論から言えば断然新型がいい。旧型は高荷重領域で一定舵角から旋回中に切り増して行くと、バンプインして急激に曲がり込むポイントがあった。
対して新型はアライメント変化が感じられず、基本的には弱アンダーステアを保ったまま最後まで舵を追従させる。またブレーキを残しながら旋回するような状況でもリアの踏ん張りが効いており、挙動が安定している。
肝心な6速MTは、シフト位置がドライバー側に5度傾いた影響なのか、シフト操作が自然。これがタイプRになれば、違いはさらに大きく現れると感じた。
エンジンもツキが良く感じられ、高回転まできれいに回る。ブーストのかかり方が上質で、まるで自然吸気ユニットのようにトルクが盛り上がって行く。シャシーの動きの滑らかさに対して、トーン&マナーが揃っていると言えるだろう。
ひとつ注文を付けるとすれば、シートのサイドサポートが弱いことだ。シビックで6速MTモデルを選ぶ割合は約3割と多く、こうしたユーザーはそこにスポーティな走りを求めているはずである。別にレカロのようながっしりとしたシートが必用だとは言わない。しかしこれだけレベルの高い旋回性能を与えるのであれば、6速MTモデルだけはじんわりと体を包み込むようなシートが欲しい。
面白かったのは、この6MT以上にCVTの走りが上質だったことだ。CVTは約30kg重たくなったトランスミッション重量がフロントタイヤの接地性を高めており、切り込んだときの動きが落ち着いている。特に強いブレーキングを必用としないコーナーでは、それが顕著である。
CVTはその構造上、チェーンを痛めるため高トルク領域では変速フィールに切れ味を出せないが、それでも通常領域ではメリハリのある有段フィール化がされており、パドルでこれを気持ちよく操ることができた。日常での総合的な使い方を考えると、CVTモデルはかなり評価が高い。だがそれをおしても6MT! とこだわるのは当然アリだ。
総じて新型シビックは、先代モデルから確実な正常進化を果たしていたと言える。ただ筆者が気になるのは、やはりそのデザインが一気に大人びたこと。果たしてZ世代は、このルックスが受け入れられるほど成熟しているのだろうか? むしろ我々世代にマッチするような気がする。
先代シビックは、少ないマスだからこそあのエッジーなデザインと走りがウケていた。タイプRはトゥーマッチだが、5ドアハッチはちょうどいいよね! 的な人気だったのではないかと思うのだ。
逆にこの走りとこのデザインがベースとなってできるタイプRは、きっと素晴らしい一台になるだろうと、ワクワクしたのも事実だ。ベースが大人びているからこそちょうど良い派手さになるだろうし、何より素晴らしく運転しやすいタイプRになるだろうと予想できる。
シビックの販売台数はきっと多くはならないだろう。しかしホンダがそれでも日本市場にこれを残したのは、シビックこそが彼らのスピリッツを伝えるクルマだと自覚しているからだと思う。だからこそ新型シビックは、ホンダを愛するファンにこそ乗って欲しい。
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